刑法

事実の錯誤について解説

1.事実の錯誤の概要

刑法における事実の錯誤は上図の通り大きく2つに分類でき、「具体的事実の錯誤」「抽象的事実の錯誤」があります。
また、「具体的事実の錯誤」はさらに3つに分類でき、「客体の錯誤」「方法の錯誤」「因果関係の錯誤」があります。

2.具体的事実の錯誤

2.1.客体の錯誤

「客体の錯誤」とは客体の同一性に食い違いがある場合をいいます。
例えば上図のように、暗闇でAさんを殴るつもりで実際に暴力行為を行ったが、実は殴った相手はAさんではなくBさんだった場合が客体の錯誤にあたります。

2.2.方法の錯誤

「方法の錯誤」とは手段に食い違いが生じ、別の客体に結果が発生した場合をいいます。
例えば、特定の人を狙撃しようとしたが、狙いがそれて他の人に命中し死亡させてしまった場合が方法の錯誤にあたります。

2.3.因果関係の錯誤

「因果関係の錯誤」とは行為者が認識した実行行為から結果発生までの因果経過が、実際の因果経過と異なる場合をいいます。
例えば、被害者を溺死させようと思い、橋の上から突き落としたが、落下中に橋脚に頭部をぶつけ死亡させてしまった場合が因果関係の錯誤にあたります。

3.抽象的事実の錯誤

「抽象的事実の錯誤」とは、行為者が認識した事実が該当すべき構成要件実際に発生した事実が該当する構成要件とが異なる場合をいいます。
例えば、主観的には窃盗罪の故意で、客観的には占有離脱物横領罪の罪をした場合が「抽象的事実の錯誤」にあたります。

まとめ

まとめ

・「客体の錯誤」とは客体の同一性に食い違いがある場合をいう。

・「錯誤」とは手段に食い違いが生じ、別の客体に結果が発生した場合をいう。

・「方法の錯誤」とは手段に食い違いが生じ、別の客体に結果が発生した場合をいう。

・ 「抽象的事実の錯誤」とは、行為者が認識した事実が該当すべき構成要件と実際に発生した事実が該当する構成要件とが異なる場合をいう。


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  • この記事を書いた人

徳山 紗里

弁護士。京都女子大学法学部の卒業生で初の司法試験合格。 幅広い分野で弁護士の活動をしております。 詳細は私個人のホームページを参照ください。

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