憲法

【重要判例】塩見訴訟

1.事件の概要

韓国籍だったXは、幼少期にはしかにより失明した。

その後、Xは日本国籍を取得し大阪府知事に対して障害福祉年金受給請求を行ったが、国民年金法同法56条1項但書(国籍条項)により、廃疾認定日に外国籍であったことを理由に請求を却下された。

Xは上記処分が憲法25条および憲法14条に反するとして取消しを求め提訴した。

2.争点/論点

●日本国籍がないことを理由に障害福祉年金を給付しない規定は憲法25条に違反するのか?
●日本国籍がないことを理由に障害福祉年金を給付しない規定は憲法14条1項に違反するのか?

3.条文

条文

憲法25条
・すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

憲法14条1項
・すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

4.最高裁判決

憲法25条の違憲審査

憲法25条にいう健康で文化的な最低限度の生活なるものは、きわめて抽象的、相対的概念であって、同条の規定の趣旨を現実の立法として具体化するにあたっては国の財政事情を無視することは出来ない。また多方面にわたる複雑多様な考察とそれに基づいた政策判断を必要とすることから、立法府の広い裁量にゆだねられている。そのため、著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱、濫用と見ざるを得ないような場合を除き、裁判所が審査判断するに適しない事柄であるとの判断枠組みを提示。

その上で、社会保障上の施策に置いて在留外国人をどのように処遇するかについては、その限られた財源の下で福祉的給付を行うにあたり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されるとした。つまり、障害福祉年金の支給対象から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する事柄であるとし、本件は憲法25条に違反しないとした。

憲法14条1項の違憲審査

憲法14条1項は法の下の平等の原則を定めているが、右規定は合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものである。
各人に存する経済的、社会的その他種々の事実関係上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けることは、その区別が合理性を有する限り、何ら右規定に違反するものではない。

障害福祉年金の支給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する事柄と言うべきであるから、その支給についての外国人と日本人の取り扱いの区別については、その合理性を否定することが出来ず、本件区別は憲法14条1項に違反しないとした。

5.ポイントとなる事項

ここがポイント

●社会保障上の制度は立法府に広い裁量があり、著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱、濫用と見ざるを得ないような場合を除き、裁判所が審査判断するに適しない事柄である。

●合理的な理由のある区別は憲法14条1項に違反しない。

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  • この記事を書いた人

徳山 紗里

弁護士。京都女子大学法学部の卒業生で初の司法試験合格。 幅広い分野で弁護士の活動をしております。 詳細は私個人のホームページを参照ください。

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