憲法

【重要判例】マクリーン事件

1.事件の概要

語学学校の英語教師として在留期間1年の入国許可を得ていたアメリカ人のロナルド・アラン・マクリーン氏は、期間満了前に在留期間の更新を法務大臣に申請したが、無届けで他校へ転職したことやベトナム戦争に反対する運動に参加したとして不許可とされた。
マクリーン氏は上記処分が、在留の自由、政治活動の自由を侵害するものであるとして取り消しを求めて提訴した。

2.争点/論点

英語教師のマクリーンさん

外国人に在留する権利が認められるのか。
外国人に政治活動の自由が認められるのか。
●在留許可における法務大臣の裁量が認められるのか。

3.条文

条文

憲法22条1項
・何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

憲法21条1項
・集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

4.最高裁判決

外国人が日本に在留する権利について

憲法22条1項は、日本国内における居住・移転の自由を保障する旨を規定するにとどまり、外国人が日本に入国することについては何ら規定していないものである。
国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別な条約がない限り外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することが出来るものとされていることと、その考えを同じくすると解される。
憲法上、外国人はわが国に入国する自由を保障されているものではないことはもちろん、在留の権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されているものではない

外国人の政治活動の自由と法務大臣の裁量

憲法の人権保障の規定は、外国人についても権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ。
しかし、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎず、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情として斟酌※1されないことまでの保障が与えられているものではない
マクリーン氏の政治活動は、その態様から直ちに憲法の保障が及ばない政治活動であるとは言えないが、法務大臣の判断に裁量の逸脱濫用があったとは言えず、本処分は違法ではない。

※1斟酌:あれこれ見計らって手加減すること。

5.ポイントとなる事項

ここがポイント

・外国人の基本的人権は在留制度の枠組み内で保障されているに過ぎない。

・法務大臣は、外国人が在留期間中に憲法上の保障を受ける行為をしたことを理由に、在留期間更新不許可処分を行うことが出来る。
(憲法上の保障を受ける行為を在留更新の不許可事由にしてもよい)

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  • この記事を書いた人

徳山 紗里

弁護士。京都女子大学法学部の卒業生で初の司法試験合格。 幅広い分野で弁護士の活動をしております。 詳細は私個人のホームページを参照ください。

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